2020年3月、パンデミックの最中にローンチされた〈cent.ldn〉は、市場で唯一無二のユニークなキャンドルを販売することを目標としている。キャンドルは地元ロンドンを拠点とする熟練した職人チームによって一点一点特注され、手作業で注がれる。最新コレクションの「A City Born To Create( 創造する街)」では、ロンドンの女性クリエイターたちとコラボしアーティストの出身地や現地のクリエイティブコミュニティをそれぞれイメージした6つの限定キャンドルを制作。ヘイリー・マック氏とのフルインタビューをチェックして、〈cent.ldn〉の最新コレクションをお買い求めください。
女性起業家としての経験について聞かせてください。〈cent.ldn〉を立ち上げてから、一番嬉しかった出来事は何ですか?
女性として起業をすることには、楽しさもあれば大変なこともありました。それでも、アイデアと情熱を持つすべての人にぜひ味わってほしい経験です。2020年10月に事業を法人化したときには、自分自身を創業者として公的に位置付けることには抵抗がありました。それまで男性のステークホルダーがメインの職場環境にあったこともあり、愚直にも男性が率いるブランドの方が消費者には受け入れられやすいと感じていたんです。しかし、自分の技量に自信を持ち、専門知識も増えていくに連れ、ブランドの代表として私以上に適した人はいないとわかったんです。
女性であり起業家であるには、忍耐力と柔軟性、そして学ぶことと適応することへの意欲が必要なんです。困難を乗り越えて成果を上げながら有意義で影響力のあるものを創る機会を与えられるので、やりがいがあってエンパワーメントに繋がる経験でもありますね。
〈cent.ldn〉をやっていて一番嬉しかったのは、2022年6月にロンドンのセルフリッジズで開催された、ジンのブランド〈タンカレー〉とコラボしたデザイナーズストリートルームで、ランドローバー ディフェンダーを使わせてもらったことですね。その後も人気 DJ のティファニー・カルバーを呼んでパーティーをして、箱パンで大盛況でした。この経験は、〈cent.ldn〉がいちキャンドルブランドを超越した存在になったということを実感する瞬間でもありました。ブランドというよりも、コミュニティになったんです。〈Nando’s(ナンドス)〉、〈Adidas(アディダス)〉、〈Cirôc(シロック)〉、〈Hunter(ハンター)〉などとのコラボの実現も、信じられないほどの喜びでした。
ご自身のキャンドルブランドを立ち上げようと思ったきっかけは何ですか?どのようにしてそのアイデアを実現させたのでしょうか?
私は常にクリエイティブな人間で、物心ついたときから手を動かすことが好きでした。〈cent.ldn〉を立ち上げる前のキャリアでは、F1(エフワン)やモンスターエナジーなどの知名度の高いグローバル企業とともに、ブランドマーケティングの分野で素晴らしい経験を積むことができました。音楽、エンターテインメント、スポーツの分野で活動して、12年以上にわたってプロジェクトを遂行したのですが、いつしか自分でも何かを作りたいと思うようになったんです。だけど、まさか〈cent.ldn〉がそんな「何か」になるとは思ってもみませんでした。
その頃の私にとってキャンドルは、日々のルーティンの一部でしかありませんでした。毎晩1本灯すことが、生活の中でずっと続けていることだったんです。2020年のロックダウン中、退屈しのぎに初めてグラスキャンドルを注いでみて、そこからキャンドルに情熱を持つようになりました。特に理由があったわけでもなく、最初の作品なんてひどいものだったんですが、作る過程が楽しくて夢中になっていったんです。手に取って触ったり感じたりできるような美しいモノを制作する、具体的な手段になっていきました。完成したものを見れるのはとても達成感があって、何もかもが不確かだったコロナの時期に、やり遂げることの充足感みたいなものを感じられたんです。
この興味を形にするには、私の作るキャンドルは単なる装飾品ではなくて、機能性を備えたアートにしたいと思っていたんです。私がキャンドルの芸術性をリードする一方で、専門家を集めてエリート集団の〈cent.ldn〉製品開発チームを編成しました。熟練のデジタルアーティストから洗練された金型職人まで、 TV や映画の規格で働くことができ、困難なプロセスや要件にも対応することができました。視覚的なインパクトと機能性を兼ね備えたキャンドルを作るためには色々な素材や技術を試さなければならなくて、最長で6ヶ月かかることもありました。
最新コレクション「A City Born To Create」は、ロンドンにインスパイアされ、ロンドン出身の女性クリエイターとコラボしたキャンドルが印象的です。このコレクションに込めた思いやコラボのきっかけについてもう少し教えてください。
ロンドンで暮らし働く私にとって、この街の活気あるクリエイティブシーン、そしてこの街出身の素晴らしい女性クリエイターたちはいつも魅力的な存在であり続けています。アーティストにミュージシャン、作家にデザイナーなど、何をとってもロンドンには才能と革新が溢れているんです。
だからこそこの街の精神と本質をとらえるだけではなくて、この街のクリエイティブシーンを形成し牽引している素晴らしい女性たちを称えるようなキャンドルのコレクションを作ろうと思いました。
このビジョンを実現するために、ロンドン中のアーティストやデザイナー、起業家などの女性クリエイターたちに声をかけました。彼女たちとコラボをすることで、ロンドンとその創造的な雰囲気に心から触発されたキャンドルのコレクションを作ろうと考えたんです。
繁華街の賑やかな活気から公園や庭園の静寂まで、ロンドンの本質を捉えたさまざまな香りやデザインを一緒に探しました。街の象徴的なランドマークや文化施設、そして私たち自身の経験や考え方からインスピレーションを得て、香りを嗅いだら瞬時にその場所に連れていってくれるようなキャンドルをイメージして作りました。
その結果として、本当にユニークでありながら、紛れもなくロンドンを象徴するキャンドルのコレクションが誕生したのです。
このユニークなキャンドルシリーズを作る上で、女性陣だけで取り組んだ過程を教えてください。どのようにして全員のビジョンやアイデアを聞き取り、反映させたのでしょうか?
ユニークなキャンドルシリーズを作る上での女性陣との協力のプロセスは、協調的で力づけられる経験でした。お互いのアイデアに耳を傾けて全員のビジョンを取り入れることで、ロンドンの精神と創造性を真に反映した、クリエイティブ業界における女性の力を称えるようなキャンドルシリーズを作り上げることができたのです。綿密な計画、オープンなコミュニケーション、そして全員のアイデアやビジョンに耳を傾けることを約束したコラボでした。どうやってこのプロジェクトを実現させたか、ご説明します。
① 企画とコンセプト作り:プロジェクトを始めるにあたって、グループと共にキャンドルシリーズのコンセプトとビジョンを決めました。一緒にアイデアを出し合って、ロンドンらしい要素を取り入れながらもひとりひとりの女性ならではの感性を反映できるようなテーマと香りを探りました。
② 共同デザインのプロセス:そこから、私たちはデザイン工程に入りました。ロンドンを拠点に活動するアーティスト、シャーロット・アーチャーの協力を得て、女性たちのビジュアルを手描きのイラストにし、再利用可能なパッケージの内側に配しました。ひとりひとりのクリエイターが独自のスキルや才能を発揮し、それぞれの女性のビジョンやスタイルを表現したデザインに仕上げていきました。
③ 試作とフィードバック:デザインが決まったら、次は試作と意見交換です。できたキャンドルを見せ合って、香りや燃焼時間、全体の美しさについてフィードバックをもらいました。デザインを改良して、最終的な製品が私たちの品質基準に達していることを確認するために、必要不可欠なプロセスです。
④ 最終製作とローンチ:いよいよ最終チェックと発売に移ります。ひとりひとりの女性が鍵となる役割を果たして、それぞれがクリエイターとして自然体でいられる場所を選び、コンテンツの撮影を行いました。そして、皆で最終的な確認を経て発売の準備を整えました。
ビジネスや起業においてロールモデルとして尊敬している女性はいますか?もしいるのなら、どんな人物で、なぜ尊敬しているのですか?
私が個人的に「ドリームチーム」と呼んでいる女性たちのグループがあるんです。キャリア全体を通して私を助けてくれた仲間たちです。彼女たちは、仕事においてもプライベートにおいても私の成長に欠かせない存在で、私の良き理解者であり、指導者であり、インスピレーションを与えてくれる存在でもあるんです。彼女たちは自身の経験をシェアすることで、私の肩の荷を下ろしてくれました。努力だけでは足りないということを気付かせてくれたんです。学ぶための最短の方法は、自分がやりたいことをすでに達成していたり、自分よりも経験豊富な人たちに囲まれることなんだと心から思います。あなたもきっとあなたの理想のドリームチームを見つけられますよ!
起業を志す若い女性たちにアドバイスをするとしたら、それはどんなことでしょうか?
自分を信じること。一番初めの、そして最も重要なステップは、自分と自分の力を信じることです。自分には成功するための力が備わっていると信じて、自己不信に陥らないこと。
自分の情熱と強みを明確にすること。自分が本当に情熱を注いでいることは何か、自分の強みは何か考えてみましょう。ビジネスを成功させるには努力と献身が必要ですから、自分が本当に情熱を傾けられるものを選ぶことが大切です。
リサーチをすること。起業に飛び込む前に、リサーチをすることが大事です。これには、市場の理解、ターゲットオーディエンスの特定、ライバル企業の調査などが含まれます。そうすることで、しっかりとしたビジネスプランを立てることができ、成功の可能性も高まります。
計算ずくでリスクを取ること。 起業にはリスクがつきものですが、計算した上でリスクを取ることも時には大切です。つまり、決断を下す前に十分な注意を払い、潜在的なリスクとリターンを慎重に比較検討することです。
ネットワークを構築し、メンターを探すこと。志を同じくする人たちと強力なネットワークを築き、指導を受けることは、起業の浮き沈みを乗り切る上で、非常に役立ちます。他の人に指導やサポートを求めることを恐れないでください(自分も同じです!)。
失敗を受け入れ、失敗から学ぶこと。起業の道のりに失敗はつきものです。失敗を学び成長する機会として捉えること、そしてその教訓を今後のビジネスの改善に役立てることが大切です。
集中して、継続すること。ビジネスを成功させるには、時間、献身、そして忍耐が必要です。たとえ挫折や障害に直面しても、目標に集中し前進し続けましょう。
今後コラボしてみたい人物やブランドはありますか?理由も併せて教えてください。
ブランドをさらなるレベルアップに導く、刺激的なコラボの機会を常に探しています。想像力が尽きなくて常にアイデアが溢れてくるので、次に目指すものを絞り込むのが難しいときもありますね。
今言えるのは、2023年4月にご期待ください...ということだけです。
〈cent.ldn〉の今後について教えてください。 新分野の製品の開発は考えていますか?それとも既存のキャンドル製品の開発に注力するのでしょうか?
今まで見たこともないようなキャンドルのコレクションをこれからもお届けすることをお約束します!どんなものでもどんな形でも作れるので、クリエイティビティに限界はありません。次の3Dコラボは世界中で名が知れたスーパースターとのコラボで(夢をのようです)、4 月末にリリースされます。
製品ラインナップの拡大に加え、既存のキャンドルの開発・改良を続けることにも注力しています。常に新しい技術を試しながら独自の3Dデザインを開発し、最高品質の素材とサステナブルな生産方法を使用しています。今後もロンドンにあるスタジオですべての製造を行い、ハンドメイドの製品であることに変わりはありません。
私たちの目標は、持続可能で倫理的、そしてブランドとしての価値観に沿った方法で成長し続けることです。これからも新製品や革新的な技術をコミュニティとシェアすることを楽しみに、未来に期待しています。
ヘイリー・マック氏と〈cent.ldn〉の最新作を見逃さないよう、@hayleymackkkと@cent.ldnをぜひフォローしてください。また、Hypebae編集部によるHBXのトップ女性デザイナーのキュレーションや、国際女性デーのフラッシュセールもぜひチェックしてみてください。